The story is cruel...
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青桐学園    117話

[野菊side]

話し終わった時、七井は泣いていた。
どういう意味で泣いているのか判らなかったが、まるで自分のことのように涙を流す七井は、とても優しい人間なのだと思わせた。

「じゃぁ…久遠が人に心を開かないのは、その人が死んだからなの?」
俺は静かに頷いた。
「久遠は…その人のことを忘れてしまわないように……そのために独りでいるの?」
七井になんて言えば良いのか判らなかった。
いくら考えても、俺の勝手な推測でものは言えないし、岬の気持ちは岬にしかわからない。
でも…俺は、橙也を許せなかった。
死ぬ間際に告白したことも、岬を残して死んでいったことも…全てが許せない。

「…その…橙也って人も苦しかったんだろうね」
七井の言葉に思考が停止した。



橙也も……苦しかった………?



「だって…自分がもう長く生きられないと知ったとき、もう久遠の傍にいられないと知ったとき、どんなに胸が裂ける思いをしたのか……そう考えると、俺も…苦しくなる…」



手が…冷えていく。
呼吸がうまく出来ない。

途端、俺は自己嫌悪に襲われた。



橙也が悪いわけじゃないんだ……
橙也だって…生きたかったはずだ。
ずっと、岬の傍にいたかったはずだ……

あのとき、誰よりも岬を愛していたのは橙也だったのに…
それなのに俺は、子供のような嫉妬心で、勝手に橙也を恨んで…いや、違う。
俺は橙也を嫉んでいたんだ。



死んでもなお、岬に愛され続けていることに。



間違っていたのは俺だった。



一番辛かったのは橙也だったのに……


涙が、次から次へと頬を伝う。


「ごめん……橙也…間違っていたのは俺なんだ…ごめんな……」

ふと顔を上げると、七井と俺しかいない静かな教室には、今まで見たことのないくらい美しい橙色の夕日が注ぎ込まれていた。


あの頃の、優しい橙也の笑顔のように柔らかく俺を包んだ。


まるで、俺を慰めるかのように……










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テーマ:自作BL連載小説 - ジャンル:小説・文学

コメント
この記事へのコメント
泣きそうになりました。
そして、そんな物語を生んだ
千澄さんに惚れました////←

あと、千澄さん。
急ですが・・・今までありがとうございました。
2008/11/16 (日) | URL | 日向かえで #BIi9gA5o[ 編集]
<日向かえで様
そんな惚れただなんて/////

今までありがとうございました…ですか?
どうかしたんですか?
2008/11/16 (日) | URL | 千澄 #-[ 編集]
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2008/11/16 (日) | | #[ 編集]
橙也くん、言わずにはいられなかったんですね・・・切ないです。
橙也くん!!必殺技なんて言ってゴメンねっ!!!!(泣)
2008/11/16 (日) | URL | 紙魚 #nLU5wC3.[ 編集]
<紙魚サマ
そうですねぇ。
橙也は岬を苦しめるとわかっていたけれど、これから待ち受ける死が怖かったんでしょうね。
2008/11/17 (月) | URL | 千澄 #-[ 編集]
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